ドーテルIN/ローズOUT

オークランド・アスレチックスは、クローザーのアーサー・ローズ投手を、背中の故障を理由に故障者リストに登録した。ローズはかつてマリナーズ時代には、佐々木、ネルソンとリーグ最高のブルペンをつくりあげ、01年にはチームの年間116勝(46敗)という歴代1位タイの記録に大きく貢献した。
だが昨年に防御率4点台を記録すると、今年もここまで27試合に登板して3勝3敗9セーブ、防御率5・28という成績にとどまっていた。
そこで抜かりないのが、アスレチックスのビリー・ジーンGM。ローズの不振を見て、6月24日にはヒューストン・アストロズからオクタビオ・ドーテル投手を獲得する。ドーテルは今年からクローザーの役を任されていたが、昨年まではセットアッパーを務め、ヤンキースのクアントリルともに、「球界最高のセットアッパー」の一人と称されていた。
今年アストロズでは14セーブ、防御率3.12とまずまずの成績を上げていた。
アスレチックスが毎年資金が少ない中バランスのいいチームをつくり、プレーオフに進ませるのはジーンGMの力が大きいと言われるが、現在のメジャーリーグでは名GMなくして、名チームをつくることは難しい。
92、3年にブルージェイズをワールドチャンピオンにのし上げた名GMパット・ギリックが、今オフに年齢を理由としてマリンナーズのGMを辞任したら、マリナーズがあっという間に地区最下位に沈んでしまったのは、そのもっともわかりやすい例だ。
選手もプロなら、コーチ、監督もプロ。そしてチームの方針を決め、選手を取捨選択するフロントもプロでないと、ワールドシリーズへ旅立つことは難しい。
そしてそのようなメジャーの能動的な球団フロントは、人気職業の一つである。
またこちらの方も、プレイヤーと同じく完全に実力主義であるため、現レッドソックスのGMのように29歳(エール大卒)で、GMの職に抜擢されることも稀有ではない。
日本の球団でも29歳のGMが就任し、彼がチームの編成を始めたら、と考えるとちょっと心躍る。