これぞベストショット!

まずはこの写真を見ていただきたい。(http://sports.yahoo.com/mlb/photo?slug=nyff11407020459.red_sox_yankees_nyff114
これは2日のヤンキースレッドソックス戦で、延長12回にレッドソックスのバッターが打ったファールフライを追いかけたショートのジーターが、ボールはキャッチしたものの、ブレーキが利かず、スタンドにつっこんでいったシーンである。
いくらフェンスがないとはいえ、スタンドの方にフライ追って、フルスピードで向かっていくのにも驚いたが、もっと驚いたのはスタンドにダイブしたジーターが顔を上げた時には、彼の右の頬とあごから血が流れていたことである。
フライを追ってスタンドに飛び込むプレー自体は、メジャーでもそう珍しくないプレーだが、血を流すほど思いっ切り突っ込める選手はそうはいない。
それもニューヨークのプリンス、スマーとトなプレーでステータスを築いたジーターのプレーなのだからなお驚く。
ジーターはこのプレーで顔の切り傷以外に、右肩も痛めたが、次の日のメッツとのサブウェイシリーズでは、予定通り先発で出場した。


まだ少年だった頃、僕にとっての最大のアイドル(そしてそれは恐らく一生続くだろう)は、阪神タイガースのカメヤマ選手だったが、彼の一番の魅力はいつでもどこでも全力プレーを見せてくれることだった。ある試合で彼は、久々にスタメンに、ダイビングキャッチで起きた怪我をから復帰して、帰ってきてくれたたと思ったら、その試合でも素晴らしいダイビングキャッチを見せて、怪我を再発させ、再び2軍に戻っていった。
その好ダイビングの後に、カメヤマが肩か腕かを痛めて、抑えていたのを見たときは、なんとも言えない気持ちになったが、それでもそのプレーはカッコよかった記憶として残っている。


「全力でプレーする」とは言葉にすると、何だか陳腐になってしまうが、実際に人のそういう姿を目にすると確かに記憶に残る。
カメヤマもジーターも、まさに“プロの精神が”あったからこそ、全力プレーができたのだろうが、だがもしもジーターが向かったスタンドにフェンスがあったら、カメヤマがダイブしようとしたのが甲子園(天然芝)でなかったら、多分全力は出せなかっただろう。出してしまったら、かえって危険だからだ。
金網にぶつかったり、ビニールの上を滑るようには、人間の体はできていないのだ。
この写真の後ろでガッツポーズを取っている背番号13の親友、アレックス・ロドリゲスのように、こんなプレーを目にしたら選手でさえ、感嘆してしまうのだから、ファンが見たらどそれこそ興奮を抑えられないだろう。
そういう記憶が、人を野球から離れなくさせる、何よりの麻薬だと思う。