戦い終わって
ワールドシリーズが終わってから2日が経過した。素晴らしいチームがプレーオフに誕生し、次々と強豪を倒していった興奮が余りにも大きかったため、ワールドシリーズが終わった時には全身から気が抜けてしまった。そのために二日後にこれを書いている。
今回のプレーオフほど野球を心の底から楽しいと思ったことはなかった。マーリンズは9人の選手が野球をプレーしているチームではなく、一つのチームが野球をしているチームだと気づいたときには興奮した。そのことに気づいたのは、カブスと戦ったナリーグ・チャンピオンシップ第3戦の試合中だった。
そしてもっと興奮したのは、自分がそうだと思ったチームが、劣勢を跳ね返し、偶然のツキを利用し、自分たちより強い相手を倒していったことだ。
第3戦を終えた時点では(結局この試合はカブスに逆転負け)、確かにいいチームだという確信は強くなったが、最後まで勝ち残れるという確信まではなかった。
ただ、ヤンキースを倒せるとするならば、それはカブスでレッドソックスでもないという予想はしていた。ヤンキースのような個々の選手も優秀で、チームとしても優秀な集団を倒せる可能性があるのは、選手層でヤンキースを上回るチームでは決してなく、9人の選手が1つの意志を持ったチームしかいないはずだった。
それはヤンキース以外に最後に残った3チームの中ではマーリンズしかいなかったが、それでもマーリンズが選手層という物質的なものを上回るほどの実力を持ったチームなのかは、第3戦を終えた時点ではわからなかった。
第7戦の先発にベケットが決まったときに、果たしてベケットが好投しても、その次に投げて試合を終わらせるピッチャーはマーリンズにはいないんじゃないか?という疑問を書いた。
そのことに対しての答えはただ一つあったが、実現性から言って本当に低いものなので、そのことを言うことすらためらわれた。
だが結果はその通りになった。
それは、「一番信頼できる投手が最初から、試合が終わるまで投げればいい」ということだった。だが今は先発が完投するのが当たり前の時代でもないし、ベケットは数々のタイトルを取った大投手でもない。
しかし試合はその通りになった。そしてその日は、ヤンキースが敗れた日になった。
わずか23才のピッチャーが、レギュラーシーズンでの最高成績が9勝のピッチャーが、プレーオフで劇的に成長した姿を見せつけた日だった。
この偉業には真から脱帽である。ベケットにとっても、私のようなファンにとっても忘れえぬ試合になるだろう。
ここで今年のワールドシリーズをとても簡単に振り返ったみたい。
(結果) (勝因・敗因)
1 ○マーリンズ3−2ヤンキース●
ヤンキースは6回途中までコントーロルの定まらない先発ペニーを拙攻で、助けてしまう。
2 ○ヤンキース6−1マーリンズ●
予想通りマーリンズの先発レッドマンが打ち込まれる。
松井のHRが致命傷。
先発ベケットの調子が、いまいちなのを終盤にヤンキース打線が狙う。最後は救援陣が力負け。
4 ○マーリンズ4−3ヤンキース●
それまで万年二流の投手でしかなかったマーリンズ先発パバーノが一世一代の好投を見せ、最後は守護神アービーナが登場するが乱調で同点。
完全に負けムードだったが、中継ぎのフォックス、ルーパーがこれまた実力以上の力を発揮し、二人で3イニング無失点にヤンキース打線を抑る。最後はA.ゴンザレスのサヨナラHR。
この試合がシリーズのターニングポイントになり、どんな状況でも勝利を捨てなかったマーリンズに勝利の女神は微笑んだ。
5 ○マーリンズ6−4ヤンキース●
マーリンズに再び奇蹟が起きる。ヤンキース先発ウェルズが1回で負傷降板したのだ。代わった2投手から6点をマーリンズは奪う。最後はルーパー、アービーナが冷や冷やの投球ながら抑え、勝利。
ベケット、ベケット、ベケット、、、、、。
ヤンキースは7回無死2塁でジオンビが、8回無死1塁でジーターが進塁打を打てず。
以上、はなはだ簡単なシリーズのレビュー。
詳細なものは、チャンピオンシップからの試合内容を文章にしてみたいと思っています。
あー本当に面白い、10年に一度のシリーズだった。
見てないから断言はできないけども、91年のツインズーブレーブス戦や86年のメッツーレッドソックス戦、あるいは60年に行われたパイレーツーヤンキース戦に匹敵する名勝負じゃないだろうか。
こんな試合があるから、野球を見るのをやめられないんだな。
ユーアー・グットチーム、マーリンズ!!!
あんたたちは偉大なチームだったよ。