現在球界最高のセットアッパーはだれだ?〈1〉

現在最高のクローザーはといえば、ヤンキースマリアーノ・リベラフィリーズのビリー・ワグナー、ドジャースエリック・ガニエと、枚挙にいとまがなく、一人にしぼるのは難しい。
しかしこれがセットアッパーになると、一流の選手というのは数に限りが出る。それは才能のある投手はまず先発になるか、あるいは長いイニング投げるのが得意ではないならクローザーになるか、ということに由来している。そのため、クローザーよりはよっぽど人材が少ないのも事実である。
その中で今季注目のセットアアッパーを何人かあげていこう。
まず、ドジャースから今オフヤンキースに移ったポール・クワンリトルをあげたい。昨年のプレーオフでは、先発からコントレーラスをロングリリーフにまわし、大惨事を招いたヤンキースがまずは手堅い補強をした。
35歳になった昨季も、89試合に登板しながら、防御率はなんと1.75。ツーシームの速球は、145キロ前後ながら低めにコントロールされ、スライダーとともに打者をきっちりおさえる。後に控えるクローザーのガニエが55セーブの防御率1.20でサイ・ヤング賞に輝いたために、その存在はかすんでしまったが、セットアッパーとしての安定度は超一流である。
ヤンキースにはこのクアンリトルのほかにも、昨季は怪我でシーズンを全休した本来のエース・セットアッパー、スティーブ・カーセイが今シーズンは戻ってくる。
A・ロッドを獲得して史上最強の打線をつくったヤンキースだが、リベラにつなぐ試合を終わらせる人材をぬかりなく補強している点は、さすが王者にふさわしい。