現在球界最高のセットアッパーはだれだ?〈2〉

ではなぜドジャースが、リーグ屈指どころか、メジャー1の安定度を誇るセッットアッパーを、みすみすヤンキースに譲ったのか。
その答えはシンプルで、クワンリトルの後釜がドジャースにいるからだ。その名はギレルモ・モタ、だがタイプは全く違う。5年前にショートからコンバートされたドミニンカンはその強肩を活かし、150キロ台半ばの速球に高速スライダーを操る。それらの球種は十分に強力だが、いかんせん経験不足のために投球の粗さは否めなかった。
しかし昨年、とうとうその才能を開花させる。77試合に登板して防御率は超一流の1.97。クアンリトルに比べて約2倍の三振数も、モタらしい。
ガニエ、クアンリトル、モタと3人もブルペン防御率1点台の投手を一度に持つことも驚きだが、それでもドジャースワイルドカードすら奪えなかったことも単純な驚きだ。
これは一にも、ニにもドジャースの貧打線によるもので、リードを奪えなければ試合を締める兵器も宝の持ち腐れだった。

もちろんモタが来季再び好投するほ保証はない。何しろ信用のおける数字を残したのは、昨年1年限りで、それまでの通算防御率は4点台という平凡なブルペンッピッチャーだった。
来季31才、実質デビュー2年目のドミニカンの速球がどこまで通用するか、注目だ。
野茂の勝利数も彼の活躍によって変わってくるのだから。