エンリケ・ウィルソン、君はヤンキースのセカンドにふさわしいか?

何回か前に、今年のヤンキース野手陣は史上最強だと書いたが、実はたった一つ隙間が空いている。それはどこか、以下の今年のオーダーとこれまでの実績を見てもらえば一目瞭然だと思う。

                     (主な獲得タイトル)
1番 中堅 ケニー・ロフトン  ゴールデングラブ(GV)賞4回、盗塁王5回
2番 遊撃 デレック・ジーター    96年新人王、現キャプテン、
3番 三塁 アレックス・ロドリゲス  HR王3回、首位打者打点王各1回 GV賞2回
4番 一塁 ジェイソン・ジアンビー  01年アリーグMVP、2年連続40HR
5番 右翼 ゲイリー・シェフィールド 首位打者1回、メジャー1の打球速度
6番 捕手 ホーヘイ・ポサダ     4年連続20HR、3年連続90打点以上
7番 左翼 松井秀喜         ヤンキースここ10年で最高のレフトは間違いないところ
8番 DH バーニー・ウィリアムス  GV賞4回、首位打者1回、イチローも憧れるオールラウンダー 
9番 二塁 エンリケ・ウィルソン   昨年まで代打か守備要員。30歳。


そう、エンリケ・ウィルソン、彼だけが全く実績がない。それはウィルソンがインディアンスからキャリアをスタートさせたのだが、今まで一度もレギュラーを獲得したことがないからである。
デビュー当時は、線は細いがセンスの塊と評され、バットコントロールも上手い俊足巧打の内野手と期待されていた。しかしそれから約7年、一向にメジャーの壁を破ることなく、控えの位置にずっと置かれている。
確かにミートは下手ではないのだがフル出場を獲得するほどの威力はなく、元々パワーがあるほうではないので、ホームランは期待できない。要するに特徴がないのだ(カージナルスの田口も同じ理由でメジャーに定着できていない)。その結果彼に残されたのは、内野ならどこでも守れる器用さだけで、そのユーティリティさでメジャーにかろうじて生き残ってきた。
今回のセカンドのポジションも、彼が実力で勝ち取ったのではなく、ソリアーノがレンジャースに移った後、たまたまセカンドの選手がいなかったからだけだった。
昨年の成績は、63試合に出場して打率.230,15打点、3HR。この成績で果たしてシーズン終盤まで、生き残れるのか。
これだけ打線を補強したヤンキースにとって、あと気をつければいいのは、守備の面だけ。9番セカンドに期待するのは、とにかく守備の堅実さである。
守備だけ上手くて、打撃はそこそこのセカンドなら、メジャーにはたくさんいる。毎年シーズンが始まっても、トレードに意欲的な姿勢を見せるヤンキースなので、ウィルソンの調子次第ではすぐに彼の後釜を探しにかかかるだろう。
彼が今シーズン、ヤンキースのセカンドとして生き残れるかというサバイバイバルは、ヤンキースが東地区でのサバイバルを勝ち抜けることよりはるかに難しいと言っていいだろう。