田口の武器

田口壮セントルイス・カーナルス)は、今年もレギュラーを獲得するのは大変ハードのようだ。
彼がメジャーに行ってからというもの、メジャーリーグに定着できていないのは、日本とメジャーでは外野手に求めるものが微妙に違う理由によるだろう。
一言でいうなら、メジャーの外野手にはまず何より打撃が求められる。そのタイプは2種類。20本塁打以上打てるスラッガーか、3割打てるアベレージタイプか、そのどちらかしか外野手としては生き残れない。
なぜかというと守備だけなら一流という選手は、数え切れないくらいメジャーにもマイナーにもいるのだ。だからその点ではほとんど差がつかない。特に中南米系の選手のバネや、肩の強さ、スピードというのは平均的に高い。
それゆえイチローも言ってる通り、彼らは雑にプレーしても一定水準を越えたプレーができてしまう。

だから外野手にとっては打撃こそが、自分を他の者と区別するものになる。
新庄が結局メジャーリーグのレギュラーに定着できなかったのも、打撃に特徴がなかったからだ。長距離打者でもなく、アベレージヒッターでもなく、クラッチヒッター(チャンスに強い打者)でもない新庄のポジションはいくら守備が上手くても、外野にはなかった。
守備はずばぬけているが、打撃はそこそこという選手が生き残れる場所は、現在ではショートとセカンドしかない。
外野手で生き残るには、打撃にこはれだけは他を圧倒するというものを持たなければ生き残れないのだ。
今、日本で活躍している外野手がもしメジャーに行くなら、この点を考慮する点がある。
イチローのように完全にアベレージヒッターを目指すのか、あるいは松井のように苦しみながらもホームランを一時的に捨て、クラッチヒッターを目指すのか。はたまたまだ日本人選手では誰も体現していない長距離打者を目指すのか。自分の力を一点に集中する必要がある。
一つ言えるのは、新庄や田口のように日本でも守備以外は突出したものがなく、総合力で自分のステータスを築いた選手には、メジャー挑戦はとても難しいということだ。