柔らかく、硬く。

松井秀喜がオープン戦の打率が2割を切り、今年も苦労しているようだというヤフーニュースを見た。
しかし松井秀喜のスイングはオープン戦のニュース映像を見る限り、去年とは全く変わった。そう言って差し付かえないと思う。
昨年までは、メジャーの投手の球威に負けないような力強いスイングをと意識していたせいなのかもしれないが、スイングの起動時からインパクトまで常にフルスイングという印象をうけた。それがともすれば余分な力みをよび、ボールの芯をとらえられない場面をうんだ。昨季チーム1の併殺打を記録し、「ゴロキング」なる汚名もつけられた原因の最大はそれであったように思う。
しか今年はバットを構えてから、後ろに引いていくまでのテークバックがとても柔らかい。余分な力が入ってないのでトップにバットが入ってから、インパクトまでのスイングは、力強いというよりは鋭い。
これは1年間メジャーリーグを経験して、自分のバットスピードが通用することを確認した。そのため自分のスイングを信じることができるようになり始めているせいではないだろうか。
メジャーリーグでも総じて2割5分でホームラン40本のバッターはスイングは粗いが、とにかく力強い。だが3割で40本打つバッターのスイングは、柔らかく鋭い。パワーはあるのだが、それは動きの滑らかさの中に内包されていて、ホームランは力というよりタイミングで打っているように僕には見える。
松井が昨年打ったホームランは16本。今年これ以上増やすことは間違いない。
投手にとって最大に恐怖を感じるバッターは、自分のリズムで迷いなくスイングをしてくるバッターである。
あとは松井がシーズン通して、今の自分のスイングを信じきれれば、3割30ホーマーが実現する日はそう遠い日ではない。そう思える柔らかさだ。