アリーグ優勝予想 西地区

「西地区」
 マリナーズ、アスレッチクス、エンゼルスの3チームでみつ巴の大激戦地区となった。昨年までは2年連続してアスレチックスが制している。その原動力はなんといっても強力な先発3本柱。ジート、ハドソン、マルダーはいずれも20勝経験があり、精神的にもタフで、かつクレバーな投球を見せる一流投手。この3人の安定感が何より、アスレッチックスを支えてきた。
 ただそのアスレチックスも今年は、自慢の投手陣に若干の不安を抱える。今まで先発投手が好投した試合を落とさなかったのは、クローザーにも強力な投手がいたせいである。昨年は43セーブのフォーク、一昨年は44セーブのコッチと2年連続してリーグセーブ王をチームから出している。
 ところが予算の関係上、二人ともシーズンが終わると、放出された。かわって今年のクローザーは、マリナーズから獲得したアーサー・ローズがとつめる。気になるのは彼の年齢。01年には1点台、02年には2点台だった防御率も、34才になった昨季は4点台を記録した。コントロールは大変いい投手なので、大崩することはないだろうが、かつての圧倒的な存在感を試合の終わりに見せられるかに、若干の疑問が残る。
 そこで、オフに打線ではオールラウンドプレイヤー・ゲレーロを獲得し、先発陣にはコロン、エスコバルの2人を手に入れたエンゼルスの株があがってくる。豪腕パーシバルを筆頭にもともとブルペンはいいので、先発投手が中盤まで持ちこたえられる試合を増やすことができれば、昨年より勝ち星が増えるのは必然。打撃力は地区一。投打の総合力で、エンゼルスを優勝候補におした。
 マリナーズは、今年もディフェンスのチーム。攻撃陣は、長打力も、打線のつながりも他の2チームに遅れをとる。最大の弱点は打線の中に、核となるスラッガー(強打者)がいないこと。ブーンもいいバッターであることは間違いないが、たった一人で状況を一変させられる真のスラッガーではない。長谷川、ソリアーノ、グァダードとつなぐブルペンは一流なので、全員ほぼ等しい能力を持つ5人の先発投手に耐久力がつけば、面白い。逆に言えば先発陣の奮起なくして優勝はありえない。01年のときのように、効率よく打線をつないでとった得点を、粘りのディフェンスで守り抜く以外に今のところ、勝利のパターンがみつからない。
 残ったレンジャースは今年も投壊気味。将来の4番候補ティシェイラ(23才)、3割30本が十分可能なブレイロック(23才)、200本安打を目指すヤング(27才)、フォーティ・フォーティ(40本塁打、40盗塁)も夢じゃないソリアーノ(25才)など打撃陣には期待の若手が多い。将来に期待したい。.