出塁率.360以上。それが一流の証。
(昨年の1番打者の出塁率10傑) ※所属チームは昨年のもの
1 ブラッド・ウィルカーソン(エクスポズ) .380
2 スコット・ポドセニク(ブリューワーズ) .379
3 マーロン・バード(フィリーズ) .366
4 レイ・デューラム(ジャイアンツ) .366
5 ダンジェロ・ヒメネス(レッズ) .365
6 シャノン・スチュアート(ツインズ) .364
7 ホアン・ピエール(マーリンズ) .361
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8 リード・ジョンソン(ブルージェイズ) .353
9 イチロー(マリナーズ) .352
ケニー・ロフトン(カブス) .352
ショーン・バローズ(パドレス) .352
一番打者に求められる出塁率は一体どのくらいだろうか。メジャーリーグにおいてその数字は.360以上とされている。
出塁率.360を超えれば、一流のリードオフマンということだ。
だが一流の仲間入りをするのは、簡単なことではない。上にのせた一番打者の出塁率ベスト10(03年)を見ても、その数字を達成したのはメジャー全体でも7人しかいなかった。つまり30チームある中で、その責任を果たせた1番打者がいたのは7チームしかなかったのだ。
この出塁率ベスト10の中でイチローは打率では2位だが、出塁率では9位である。
つまり30チームの中で彼よりヒットを打ちやすい1番打者は1人しかいなかったのだが、彼より塁に出やすい選手は8人もいたということだ。
その数字がもっとも去年のイチローの苦闘を表しているように思う。
ホームランを打たない以外は、とにかく塁に出ないと得点は生まれない。その単純な事実が一番打者にとっての出塁率を、見る角度によっては打率よりも価値のある数字にしているのだ。
イチローの02年の出塁率は.388で、1番打者としては最高だった。01年も.381を記録している。そのイチローが去年はガタっと出塁率を下げたのは、打数や安打数に大きな変化はなかったのだが、四球数を02年のほぼ半分にしたからだった。
これは彼のバッティングの何かが崩れていたせいなのかもしれない。まだ30歳のイチローの選球眼が、急に悪くなるとは考えにくいからだ。
それでも3年連続200本安打を達成してしまうイチローは、一体どのくらいの実力をもった選手なのだろうか。
そして、もしもそこに再び「何か」を取り戻すことができたら、その時彼の前を歩くリードオフマンはメジャーにさえもいなくなるだろう。
明らかにイチローは他の日本人選手とは、異質の世界にいる。