ファット・イズ・「OPS」?

打率が高くても、チャンスに弱かったり、選球眼が弱く出塁率が低かったら、実は投手にとってはそんなに脅威になるバッターではない。またパワーがあってホームラン数は多いのだが、出塁率が低ければ、時々でる一発にだけ気をつければいいということになる。またそういう選球眼は悪いバッターは、チャンスでタイムリーが出る確率も当然減る。
じゃあどんなバッターが一番ピッチャーにとっては怖いのか。、そしてその恐ろしさを数値化することはできないかと考えられたのが、今日紹介する「OPS」である。
OPSの計算自体はいたって簡単なもので、「出塁率長打率」というもの。たとえば昨年のイチローのOPSは、「出塁率.352+長打率.436=.788」となる。
出塁率はバッターの選球眼とヒットの出やすさを、長打率はバッターのパワーを表している。この二つを足したOPSは簡単に言えば、パワーがあり、選球眼やアベレージ力もいいバッターが、投手にとってもっとも脅威になるはずだという前提が生み出した。
日本ではほとんどなじみがないこの数字も、近年のメジャーリーグではバッターを総合的に評価する数値として一般に定着している。
米国の野球サイトでも必ず選手の成績表にはのせているところを見ると、もうその概念は一般の人たちにも浸透しているようだ。
通常その数値の目安は.800を超えれば平均以上とされ、1.000を超えたら超一流の選手とされている。昨年にその1.000以上のOPSを残した打者は、以下のわずか7人だった。


1  1.278 バリー・ボンズ      (ジャイアンツ)
2  1.106 アルバート・プホルス   (カージナルス
3  1.088 トッド・ヘルトン     (ロッキーズ
4  1.023 ゲーリー・シェーフィールド(昨年ブレーブス。現ヤンキース
5  1.019 カルロス・デルガド    (ブルー・ジェイズ)
6  1.014 マニー・ラミレス     (レッドソックス
7  1.002 ジム・エドモンズ     (カージナルス


この順位でも断トツの1位に輝くのはバリー・ボンズ。この数字を見れば、彼がただ長打力を持つだけの打者でなく、ボールを見極められる一流の選球眼を持っている打者ということがわかる。特にボンズ出塁率.529(長打率は.749)は、いくら敬遠の四球数が多いといっても、驚異的な数字だ。
ボンズが塁に出る確率は、2回に1回以上より多い52パーセントというこで、メジャーでも出塁率5割を超えている選手は、ボンズ以外にいない。
「現在最高の万能選手」A・ロッド(ヤンキース)も、長打率では.600でアリーグ1位だが、出塁率では.396でアリーグ8位とふるわない。出塁率が低いということはアウトを相手に与えやすいということであり、この討ち取られやすさがまだ「現在最高のバッター」の称号はボンズのものにしているだろう。
ちなみに松井の昨年のOPSは.788で、イチローと同じく規定打席到達80人中46位。
チームメイトのジオンビは.939、ポサダは.922だった。この数字が示す通りの差が松井をまだクリーンナップ(この言葉は米では4番のことしか指さないが、ここでは日本式に使いたい)に、定着させてないと考えて差しつかえないと思う。