多田野数人、24歳。メジャーリーガーになった日。

昨年春に立教大学を卒業し、インディアンスのマイナーリーグで米国の野球生活をスタートしていた多田野数人投手が、23日メジャーリーグに昇格した。現在インディアンスはここ数年の選手大放出と緊縮財政によって、先発陣にも、リリーフ陣にも圧倒的に人材が枯渇してしまっている。
先発陣では、エースのC.C.サバシアだけは3試合に登板して1勝0敗、防御率1.71と信頼できる数字を残しているが、他のデービス、ダムコ、リーといった投手たちはそれぞれ防御率が5.56、5.21、4.02というパッとしない投球を続けている。
だが先発陣よりさらにひどい状況になっているのが、ブルペン(リリーフ)ピッチャーたちである。主なリリーバーたちの防御率を見ていっても、まずチーム唯一のセーブをあげているデビッド・リスキーが10.50。他にもスコット・スチュワートが10試合に登板して10.80、ジャック・クレッセンドは8試合登板して7.15、ラファエル・ベタンコートが9試合に登板して5.59と惨憺たる防御率を、リリーバーたちは残している。
24日現在インディアンスの順位は、6勝12敗で中地区の最下位。アリーグで彼らより勝率の低いチームは、トロント・ブルージェイズしかいない。
それも先発投手はよくないが、彼らのあとに控えているブルペンピッチャーはさらに脆弱という今の状況では仕方ないだろう。何しろチーム防御率5.64をほとんどのリリーバーたちが超えてしまっているので、打線が何点とろうとも、そのリードを守ることができないような状況なのだ。


多田野はその崩壊したブルペンの補強のために、メジャーに引き上げられた。そのため登板のチャンスは、少なくないはずだ。1度や2度の失敗なら、このチームなら許されるだろう。もちろん本人は絶対にそんな気持ちは持ってないだろうが、時には失敗から学ぶことが何より大きいことだってある。このチームなら、メジャーに定着できることは多田野にとって決して夢じゃないのだ。