月間 チームに一言!  ナショナル・リーグ編〈1〉

5月7日現在、メジャー30球団の内で一番多くの試合をしたエクスポズが30試合、一番少ないオリオールズが25試合を終えて、そろそろ序盤戦は終わりを告げようとしている。(1シーズンは162試合)
そこでこの辺りで一度、今の順位をふりかえってみようと思う。
まずはナショナル・リーグ東地区から。


・「東地区 順位」
                       勝    負
1 フロリダ・マーリンズ        17   12
2 アトランタ・ブレーブス       13   14
3 フィラデルフィア・フィリーズ    12   14
4 ニューヨーク・メッツ         13   16
5 モントリオール・エクスポズ     9   21


・チームに一言!
フィリーズ
この地区ではマーリンズブレーブスフィリーズの3強が地区優勝を争うとシーズン前から思われていたが、その通りの結果となった。
意外なのは攻守のバランスがとれているフィリーズが、4月のスタートダッシュにつまづいたこと。投手陣は安定しているのだが、打線をつくる選手たちに好不調の差が激しく、中々つながりがでないのが問題だ。例えば主砲トーミ、生え抜きバレルは好調だが、彼ら以外の6人が、打率.250以下では連打は厳しい。メジャー最高のサウスポー・クローザー、ビリー・ワグナーは健在なだけに、その点が改良されたら、勝ちあがれるはずなのだが!


ブレーブス
ブレーブスは古豪らしく、それなりに勝っている。だが、今ひとつパンチが感じられない。投手陣もそれなりに揃っているが、一体誰がエースなのかはっきりせず、核がいない状況は打撃陣も同様。シアトル・マリナーズと同じく、原因不明のマンネリ病が蔓延している雰囲気があるが、まずはケガで4月下旬からDL(故障者リスト)入りした主砲チッパー・ジョーンズが、今月中に復帰してから勝負をかけたいところだろう。
年齢詐称疑惑のフリオ・フランコ(元・千葉ロッテ 46歳《?》)は、今年も主に代打で.324、14打点と素晴らしい活躍をしている。


マーリンズ
逆にマーリンズは、フィリーズブレーブスが集中できない間に、自分たちの実力通りのものを発揮して、首位にたった。
ナリーグのエース・ベケットの実力は昨年のワールドシリーズで証明済みだったが、2番手の万年2流投手だったパバーノも一皮むけはじめ、ペニー、ウィリスの先発まで好調なら、この順位も予定通り。
打撃では20歳ながらベケットと並び、将来の殿堂選手カブレラが爆発しはじめ、カブスからきた崔熙燮(チェ・ヒソプ)までホームランを量産しはじめている。不動の4番ローウェルに、小技がきく選手もそろえているので、つながりもいい。
怪我人を出さずに、唯一の弱点、選手層の薄さ(資金がないのだ!)さえカバーできれば、このままつっ走ってしまう可能性すらある。それだけこのチームは、選主の力以外にも、チームワーク力、思考力、監督、フロントの能力が高い。


(メッツ)
松井稼頭央のいるメッツは、とにかくピアザ以外のスラッガーがいない。彼以外ではホームラン数で目立っているのは、マイク・キャメロンとカリーム・ガルシアの2人だが、彼らは名脇役であって、一人で好投手を打ち崩し、状況を打開できる真のスラッガーではない。そのためピアザが抑えられると、メッツの打線は何の恐さもなくなってしまう。
それにしても、打撃が主な仕事の1塁手が、打率.160で0HRの、フィリップスでは寂しすぎる。
投手陣は、グラビン、ライター、トラクセルのおじさん3人トリオで安定しており、クローザーのルーパーも問題ないだけに、打撃陣さえ改善されれば、とつくづく思う。
金はあるんだからもっといい補強してよ、とメッツには言いたいのだが、このままいくと、本当に、絶対に、上位には食い込めないだろう。


エクスポズ
今オフはエースをヤンキースに、4番をエンゼルスに、レギュラー捕手をカブスにトレードに放出し、元々劣勢が予想されていたが、その予想を超える低迷ぶりを見せている。
まず打線に一人も3割打者がいない。オールスター2塁手で、3割は当たり前だったホセ・ビドロまで.240と低迷している。
打点でも、チームで最高なのが10打点のカブレラで、これでは代打のフランコブレーブス)にも及ばない。
そのため投手陣はほとんど援護点をもらえず、大変に苦しいのだが、投手陣にも不調の選手は多い。
5敗の大家は防御率5.13だし、2勝をあげてるクラウディオ・バルガスも5.22、クローザーのビドルに至っては、7.36という頭を抱えたくなる数字を残している。
逆に今、エクスポズで見るべき選手と言ったら、期待の速球右腕ザック・デイに、韓国人投手・金三宇(キム・サンウー)の二人。
デイがオールスターに選ばれることを願いたい。