夏のオリンピックが来ると思い出す。

あと数ヶ月もすると、オリンピックが始まるが、夏のオリンピックと聞くとある一人のメジャーリーガーの卵を思い出す。
その選手の名は、ヤン・ゼレズニーチェコ人である彼はバルセロナアトランタの両オリンピックで、槍投げを連覇した金メダリストで、96年のアトランタ五輪終了後に、アトランタ・ブレーブスの入団テストを投手として受けたのだ。
彼はその年の5月に、現在も破られていない槍投げの世界記録を樹立しているが、野球経験は全くなし。
だがその“世界一”の強肩を、ブレーブスに見込まれた。
当時のブレーブスのスカウト部長、ミスター・シュナイダーはゼレズニーに対して、「野球の経験がないといっても投げる基本は同じ。彼には素晴らしい投手になる素質があるはず」というコメントを残している。
テストでは、野球をしたことがないために投げ方はとてもオリジナルなものだったが(つまり正しい投げ方を知らなかった)、それでも時速136キロをマークした。そして驚くべきは、遠投テストで記録した160メートルという数字だ。
メジャーリーグのどこの球場でもバッターボックスから、センターバックスクリーンまでがおよそ120メートル強。日本のプロ野球の入団テストでも、遠投のリミットは100メート前後なので、ゼレズニーは素晴らしい強肩と言っていいだろう。ただ彼がどれくらいのコントロールを持っていたか、ということは気になる。)


ただその肩だけでは投手として即戦力というわけにいかず、さらにこの入団テストは話題作りの感も強く、ゼレズニーのブレーブス入りは見送られた。
ゼレズニーはその後も槍投げ界の第一人者として君臨し、4年後のシドニー五輪でも優勝し、バルセロナから続き五輪3連覇を達成。さらに昨年の世界選手権でも優勝している。
もちろん今夏のアテネ・オリンピックにも出場してくるそうだ。