デーブ・パーカーの一投

今年のメジャーリーグのオールスターは、7月13日に開かれるが(始球式はなんとモハメド・アリ氏だそうだ)、オールスターの時期になると、日本の野球と比較するために、デーブ・パーカーの一投が話題にのぼることがある。
それは彼が守備だけで、オールスターのMVPに選ばれたことに、日本の野球との考え方の違いを見ようとする趣旨でだ。
パーカーは73年のオールスターにおいて、7回、8回の試合の終盤に外野からの好返球で2度もランナーを刺殺し、チームがその後逆転勝ちしたことから、MVPに選ばれた。
そういうこと日本ではないでしょ、というわけだ。
今の日本でこういうプレーができるとしたら、ファイターズの新庄か、ドラゴンズのアレックスといった選手が最有力候補だろうが、確かに彼らが試合を左右する刺殺を見せても、それだけではMVPに選ばれなそうな雰囲気は日本にはある。
とはいえ、アメリカでもオールスターにMVP制度が導入されてから42年の間で、守備だけを評価されてMVPを獲得したのは、パーカーしかいないから、こういうプレーが毎年生まれているわけではない。
問題は日本ではMVPを選ぶときに、「野球をもっと面白く感じさせるにはどうしたらいいか」という配慮と視点が、米国に比べると欠けているということだろう。
今の日本球界が、1リーグ制に移行しょうとしているのも、結局根底にはそういった「野球の世界を面白くしよう」という気持ちが、少ないから進行している気がする。
まずは日本のオールスターに一つ注文をつけたいとすれば、表彰されるべきは最優秀のMVPだけで、優秀賞の数名は発表だけでいいと思う。先日Jリーグのオールスターを見ていたら、MVPの石川直宏(FC東京)が表彰された直後に、同じ表彰台で優秀賞の数名が表彰されていたのだが、その光景はちょっと気のぬけた感じだった。それより誰が見ても試合を決めた選手、その選手たった一人の表彰の方が、よっぱどしまる気がする。